2017年05月26日

【スディルマンカップ2017】日本が再びマレーシアを3-1で下し 準決勝へ

オーストラリアのゴールドコーストで行われているスディルマンカップ2017。大会6日目の26日、日本は決勝トーナメントの第一戦となる準々決勝で、予選グループでシード権を懸けて熱戦を繰り広げたばかりのマレーシアと再びあいまみえた。



準々決勝 試合の詳細は下記の通り

日本  3―1  マレーシア

男子複
園田啓悟/嘉村健士(WR5) 2(21-17,16-21,21-11)1 GOH V Shem/TAN Wee Kiong(WR6)

女子単
奥原希望(WR10) 2(21-11 ,21-9)0 Sonia CHEAH (WR32)

男子単
西本拳太(WR61) 0(15‐21,13-21)2 LEE Chong Wei(WR2)

女子複
髙橋礼華/松友美佐紀(WR1) 2(21-7、21-14)0 Vivian HOO/WOON Khe Wei (WR13)


日本の先鋒は、男子複 園田啓悟/嘉村健士ペア。相手も前回と同じゴー/タン ペアで、世界ランキング5位と6位の実力拮抗の対戦となった。前回の試合で第1ゲームを落とした園田/嘉村ペアは、この試合が立ち上がりから畳みかけて、目論見通りに第1ゲームを21‐17と先取。後が無い相手に先手を取られてしまった第2ゲームは、序盤から差が開く苦しい展開。それでも何とか喰らいつく園田/嘉村ペアだが、相手に16‐21で逃げきられてしまう。勝負が掛かったファイナル・ゲームは序盤は一進一退も、中盤以降、確実にポイントを積み上げた園田/嘉村ペアが一気に引き離して逃げ切り体制に入る。終わってみれば21‐11でファイナルを押さえた園田/嘉村ペアの完勝。


女子単には登場したのは、奥原希望。WR32位と格下の相手に実力の違いを見せつけつつ、ポイントを重ねていく。「女子シングルスは、私か(山口)茜ちゃん、どちらが出るにしても勝ちを計算されている試合」というプレッシャーのかかる状況下でも、確実にその責任を果たし試合後は安堵の表情の奥原。21‐11、21-9と実力通りに押し切ったストレートの完勝で、日本が2戦先勝。準決勝まであと一歩まで迫る。


男子単には、今大会ドイツ戦に続いて2戦目となる西本拳太。相手は、マレーシアの誇るスーパースター リー・チョン・ウェィ。先日のマレーシア戦で五十嵐優が「まったく通用しなかった」と語ったバドミントン界のレジェンド相手に、第1ゲームの立ち上がりは西本が互角に渡り合う。次第にペースを掴んできたリーに最後は15‐21で押し切られるも第2ゲームに期待を繋ぐ。第2ゲームも序盤から中盤にかけて意地を見せた西本が互角以上に渡り合うも、次第に老獪なリーが流れを呼び込み、強烈なスマッシュを決め始めるとみるみる点差が開いていった。そのまま13‐21で第2ゲームを落とした西本が、ストレートで涙を呑んだ。


3戦連続の勝利を懸けての試合に臨んだ女子複の高橋礼華/松友美佐紀ペア。しかし、世界NO.1は変わらぬ泰然自若。マレーシアのペアは戦い慣れた世界ランキング13位のフー/ウーン ペア。前回より確実に相手関係は強化されているものの「負けたことが無い」という相手にはタカマツを止める力は無かった。第1ゲームは、着実に点を重ねたタカマツが21‐7であっさり先取。第2ゲームは、後が無い相手も粘りを見せるが、大勢には影響せず21‐14。これで、日本が3戦先勝で勝利。見事に宿敵中国が待ち構える準決勝へと歩みを進めた。





試合後の選手コメント

男子複 園田/嘉村ペア

試合を振り返って
嘉村「第1ゲームは、園田が少しガチガチでやり辛そうにやっていたので自分がしっかりやらなきゃないなと思って集中してやれた。第2ゲームに入ってからは途中で集中力が切れてしまってズルズルと負けちゃったんですが、しっかりファイナルで切り替えて二人で点数を取ることができて、しっかり先陣を切れたのが良かった」

園田「第2ゲームは、相手のドライブが沈んできたリとか、自分たちのエラーやミスが多くて、その辺で気持ちが引いてしまったファイナルゲームは、自分たちが気持ちで上回っていたので、自分たちから攻めていけたっていうのが大きかった」
嘉村「サービス周りで三球目しっかり触れたことで、先手を取ることができて、そこで攻撃の形をしっかり作れたのが良かった。それでも、同じ相手との2戦目ということで、どこかリセットしきれていないところがあってやり辛い部分もあったし、疲れもあったし、予選リーグよりは気持ち的に苦しかった」

前回の対戦(24日)の試合と比べて、ゲームプランの違いなどは
嘉村「予選の時は、上げて上げて打たれて、レシーブが上手くいかない状態でも上げていたので、その辺でラリーにならなかった反省があって、今回は予選リーグで2,3ゲームを連取できたときのイメージをしっかり思い出しながら試合に臨んだ」。

大事な試合前にどんな声を掛け合ったのか
嘉村「特に、何か声を掛けあうっていうのは無かったが、とにかくしっかり集中して、前(24日)の試合のことはしっかりリセットして臨むように心がけた」
園田「本当に今日のマレーシア戦に向けてしっかりと準備してきたので、こうやってしっかり勝つことができて良かったなと思っている」
嘉村「団体のトップバッターだったので、こうやって勝ってチームに勢いを与えることができて本当に良かった」

今後の大会の抱負を
嘉村「オーストラリアに来る前から皆で優勝を目標にやってきたので、チーム一丸になって優勝を目指して頑張りたい」。

ファンへのメッセージ
嘉村「来場してもらえれば、バドミントンの素晴らしさを分かってもらえると思うので、ぜひ、会場に応援しにきてください。応援の日の丸も目に入るし、『あと一本!』とかいう声もはっきり聞こえる。集中力が少しずれ始めた時にそういう声が聞こえたりすると『そうだ、もう一本』と言う気持ちになれるので、本当に有難い」
園田「自分たちのガッツ溢れるプレーを是非見に来てください」


女子単 奥原希望

試合の振り返り
「前回のドイツ戦同様、しっかり足が動いていた。どの試合も勝利に絶対は無いので、しっかり気を引き締めて戦って、それが最後までできたのが良かった。今日の相手との前回の対戦はずいぶん前(5年前)で、その時との比較ってのは分からないが、長身で良い球を打ってくるので、そこは警戒して試合に臨んだ。相手は私にはないスマッシュや鋭いショットがあるし、お互いがお互いの良いところを出し合って勝負するのが駆け引き。(今回の結果は)レベルの差ではなく、結果的に常に私が主導権を握れたということ」。

日本がこの大会試合に勝ち続けている中で、試合に臨む際のプレッシャーは
「女子単は常に勝ちを期待されているので、私にしろ、(山口)茜ちゃんにしろどっちが出ても絶対にとらなければいけないポジションで、そういうプレッシャーは常に感じている」。

中国戦に向けて 
「厳しい試合になるのは分かっている。各国のトップしか出てこないスディルマンカップなので、誰が出てきても、自分たちがやることをやりきれば大丈夫だと思う。前大会とは日中両国ともにメンバーが違うので、私個人としてはリベンジという気持ちは無い」。


男子単 西本拳太

試合の振り返り
「世界のトップである相手とこういう大会のこのコートで試合をできたことは嬉しい。内容的にはドイツ戦より良かった。(リーとは)アジア大会の時に一度対戦しているので、自分の球筋とかも読まれるだろうし、長いラリーは覚悟していたが、自分の方がレシーブ面で先にミスをしてしまう展開が多かった。そこがまだまだ世界のトップの差だなと感じた」。

リー選手と対戦したばかりの五十嵐選手からは何かアドバイスとか
「それはまったくなく、自分で客席で見たりとか、アジア大会での対戦の時の映像とかでゲームプランを立ててはいたけど、それでも一本決まれば、二本目にはすぐに対応されて、それでも我慢して対応しなければいけないのに自分はまだそれができない。少しずつ練習をして積み上げていくしかない」。

ゲームプランとは具体的に
「序盤から100%くらいの気持ちでスピードを上げてやっていこうというのはできた。やっていって何とか長く食らいついていく。中盤以降のプレーにはまだまだ課題が多いので、そこはこれから調整していかなければならない」。

リー選手との対戦で、通用した部分や、学べたことは
「長いラリーでも自分がしっかりレシーブできている局面ではポイントを取れたりっていう場面もあった。そういう場面を少しでも増やして、世界の上位に食らいついて、一点ずつでも積み重ねてやっていきたい。(マレーシアが)劣勢の場面でも普段と変わらないパフォーマンスをできるという(リーの)メンタルの強さとか、世界1位を目指すには、そういうところがまだまだ成長しなければいけないと感じた」

今後の大会に向けて
「次は『中国』とかじゃなくて、どことやっても男子シングルスは上位ランキング相手ばかりなので、自分のやることは変わらない。まだ、勝利ということでの貢献ができていないので、大会の残り後2試合で何とか前向きに取り組んで、自分の力を出し切って勝ちに結び付けられれば良いと思う」。


女子複 高橋/松友ペア

試合の振り返り
高橋「予選リーグで戦ったときよりも自分たちのいい動きがあった。今日は松友が前に出てくれたので、私はカバーをしようという気持ちでやって、それができた。今大会で一番いい形ができた。
松友「なんどもやっている相手。特徴は分かっていた。いつもやっていて負けたことのない相手だから、逆にちょっとしたプレッシャーを感じていたが、自分たちのやりたいことが予選の時よりもできた。明日もしっかりやって来たことを出せるようにしたい」。

試合前の気持ちの入り方は
髙橋「予選リーグと同じマレーシアとの対戦で、本当にまたどっちに転ぶか分からないなと思っていたが、男子ダブルスと女子シングルスで勝ってくれていい流れで渡してくれたので、自分たち自身も気持ちよくプレーすることができた」。

次戦、中国戦、互角のライバルペアとの戦いは?
髙橋「中国は全種目を通して誰が出て来ても本当に強いと思うので、こちらは胸を借りるつもりで皆が勝つという気持ちで戦いたい。女子ダブルスもやってみないと分からないので、しっかりと自分たちのプレーをしたい」。
松友「やっぱり中国と戦えるというのはどんな状況でも楽しみなので、明日は中国とできるというのは嬉しい。しっかりここまで自分がやって来たことがどれ位通用するのか楽しみたい」。

前回大会のリベンジの思いはあるか
髙橋「2年前は自分たちに回る前に負けてしまったんですが、2月のアジアの団体戦ではフルメンバーではないにしても中国に勝っている。少なからず中国にとって怖い存在であれたらいいなと思っているので、チャレンジの気持ちでチーム一丸となって頑張りたい」。

朴柱奉監督

明日の試合は、どこかポイントになるか
「女子シングルス、女子ダブルスでポイントを取って、男子ダブルスが勝負となるイメージ」。

明日勝てば決勝。意気込みを
「準決勝に行くまではこのマレーシア戦が山でしたが、明日の中国戦が優勝へのもう1つの大きな山。今日はしっかり休養して、明日の試合のためにしっかり準備したい」。

混合ダブルスで渡辺/東野を続けて起用した意図は
「前回のマレーシア戦も負けはしたけど、いい試合ができていた。午前中の練習でもいい雰囲気でやっていた。明日の中国戦ではどこまでできるか分からないが、試合の順番的には明日も今日と同じ、男子ダブルス、女子シングルス、男子シングルス、女子ダブルス、混合ダブルスという試合順ではないか」。


準決勝・中国戦は明日(27日)、現地時間午後6:00からの予定。

準決勝組み合わせは以下の通り

   韓国 vs タイ 27日土曜日 現地時間正午

 中国 vs 日本 27日土曜日 現地時間午後6時


(ゴールドコースト/植松久隆、写真:Nino Lo Guidice)


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