昨年の優勝は佐藤冴香（ヨネックス）。本命の奥原希望（ユニシス）が二回戦２ゲーム目で右肩の痛みを訴えての棄権というアクシデントがあり、その混戦を持ち前のスピードとパワーを生かしての悲願の初優勝を飾った。佐藤は準決勝では奥原を破った鈴木温子（ヨネックス）と対戦、同じ大学で同級生でもあり、現在も所属が同じという関係にて最初はやりにくさが試合にでていたがファイナルゲームは自分の持ち味であるスマッシュ中心のプレイに徹して勝利。　決勝は一昨年の準決勝で快勝いた山口茜（再春館製薬所）、と激戦ながら武器のスマッシュを生かし、しぶとく競り勝ち、ロンドンオリンピックで負傷して以来完全復活を感じさせる素晴らしい優勝だった。

昨年はリオデジャネイロオリンピックの年であり、奥原が銅メダル獲得、山口が５位という嬉しい話題の中、世界レベルによる試合展開が大会前から注目され、期待通りの試合内容であった。素晴らしい試合で楽しませてくれた選手の皆さんに感謝と敬意を表したい。

女子シングルスは今まで混戦状態が続いていたが昨年奥原がリオデジャネイロオリンピックでは待望の銅メダルを獲得し、さらに今年の世界選手権大会では優勝して一躍主役におどり出た感がある。

一方山口もドイツオープン優勝、１０月のフランスオープンでは準優勝など世界ランキングは日本人最高の４位（１１月９日現在）に位置し、お互い譲らない状況となっていて、いいライバル、競争関係になっている。

今年はこの二人の世界レベルでの一騎打ちの戦いが予想される。決勝ではまだ実現してないこの２強の夢の対決の前にどうベテラン、新鋭が割り込んで挑戦してくるのか興味深い戦いとなる。

２強の優勝候補のトップは当然世界選手権大会優勝の奥原希望、９月のダイハツヨネックスオープンでは準決勝を体調不良で棄権するなど、まだ、ケガなど苦しい期間は続いている。体調維持の不安はあるものの対戦相手の動きを瞬時に分析、対応能力、スタミナは群を抜く、３度目の優勝を当然のように狙ってくる。

対抗馬の山口茜、天才少女と言われた彼女も今年で社会人２年目。９月の韓国オープン３位、アジア選手権準優勝、オーストラリアオープン準優勝、全英選手権３位など、一段と精度、安定感を増したスピードある動きからのスマッシュ、ドロップ、クリヤーなど上からの多彩な攻撃が威力を増し、パワーアップした。昨年のリベンジ、２度目の優勝に挑戦する。　

この2強に迫る選手として、まず、２連覇がかかる佐藤冴香（ヨネックス）、左腕から繰り出す切れのあるショットは魅力、昨年のように自分のペースでプレイができるかが連覇へのカギとなる。

大堀彩（トナミ運輸）、潜在能力の高さは誰もが認めるところ、新しい所属にも慣れ、ＵＳオープン優勝、中国マスターズ優勝など実績も伴ってきて、面白い存在である。

２０１３年優勝の三谷美菜津（ＮＴＴ東日本）、安定したフットワークからくるスピードある動きで攻撃力、レシーブ力とも安定している。世界選手権での銅メダルなど実績、実力では引けを取らない。

峰歩美（再春館製薬所）、全日本社会人大会優勝などあの粘り強さは見過ごせない。

高橋沙也加（日本ユニシス）、持っている能力は誰もが認めるところ、今年は結果を出したい。

女子シングルス陣はまだまだ、楽しみな選手が目白押しである。若手代表として急速に力をつけている３人、川上紗恵奈（北都銀行）、斎藤栞（ACT　SAIKYO））、仁平菜月（トナミ運輸）、台風の目となりそう。実力派橋本由衣（ＮＴＴ東日本）、全日本社会人選手権準優勝鈴木温子（ヨネックス）など優勝のチャンスは充分ありうる。

この他、社会人大会３位大家夏稀（ＮＴＴ東日本）、日本ランキング大会３位松本麻佑若、教職員大会優勝の森賀佳奈（新居浜市立川東中学校）、インカレ優勝の中西貴映（早稲田大学）、準優勝の嶺井優希（龍谷大学）。インターハイ優勝髙橋明日香（ふたば未来学園高校）、準優勝鈴木ゆうき（聖ウルスラ学院英智高校）、全日本ジュニア大会優勝水井ひらり（ふたば未来学園高校）全国中学校大会優勝(杉山明日香（四天王寺中学校)にも挑戦者として、普段の実力を充分に発揮し、上位を脅かす活躍を期待したい。

記事：美郷茂樹