2011年05月17日

ロンドンオリンピック出場資格選考基準

2012年ロンドンオリンピック バドミントン競技(2012年7月28日〜8月5日) 出場資格獲得レースが先日のマレーシアオープンGPゴールドからスタートした。

日本選手は末綱/前田組が優勝するなど幸先の良いスタートを切ったと言えるだろう。オリンピックの出場資格というのは、オリンピックの意義を鑑み大陸/IOC加盟国間での公平性の担保という視点とBWFのそもそものランキングシステムのレギュレーションが絡んでくるため多少複雑なルールの下、決定されることになっている。以下、概要について軽くおさらいする。


■ランキング対象期間

o 20011年5月2日〜2012年4月29日

■出場可能選手数

o   シングルス(男女)各38名

o   ダブルス(男女、混合)各16組

■出場可能選手数(1カ国あたり)割当ルール

o   シングルス

§  ケース1:世界ランキング1〜4位以内に同一国の選手が3人以上ランクインしてる場合は
  一国3人出場可能(ケース1に該当しない場合、ケース2へ)

§  ケース2:世界ランキング1〜16位以内に同一国の選手が2人以上ランクインしている場合は
  一国2人出場可能(ケース2に該当しない場合はケース3へ)

§  ケース3 一国1人出場可能

o   ダブルス

§  ケース1:世界ランキング1〜8位以内に2組以上ランクインしている場合は一国2組出場可能
  (該当しない場合はケース2へ)

§  ケース2:一国1組出場可能

o   1カ国からの出場可能選手は男女各9名(計18名)まで。


バドミントンの世界ランキングはランキング発表時から過去1年間の獲得ポイントに基づき決定されるため、5月のマレーシアGPゴールド以前の試合結果は出場資格には影響してこない(そのため、「選考レースがスタート」という言い方が可能)。2012年4月末開催のインドOPスーパーシリーズが最後のポイント獲得チャンスとなり、2012年5月3日発表の世界ランキングを元に出場資格が決定される。シングルスは38名、ダブルスは16組(32名)という出場可能選手数が設定されており、基本的には世界ランキングを元にこの枠が埋まりきるまでランキングの上位選手から順に出場資格が割り振られる。ここでのポイントは1カ国からの出場可能選手数が世界ランキングに基づいて変則的に設定されているという点である。各国シングルスで1〜3名、ダブルスで1〜2組の出場権獲得が可能。ただし選手が位置するランクに基づいて最大何名まで出場権が得られるかが変動する。
 
シングルスの場合、世界ランキング1位〜4位に同一国から3名以上ランクインしている場合、最大3名まで、 同様に1位〜16位以内に2名以上がランクインしている場合は 2名まで出場資格が与えられる。16位以上にランクインしている選手が1人もいない場合、出場権は1名までということになる。ダブルスも数字は異なるが基本的なルールは同じ。世界ランキング1位〜8位以内に2組以上ランクインしている場合は2組まで出場が可能だが、選手の最高ランクが8位未満の場合は1組までということになる。
このルールにより仮に世界ランキングがシングルスで38位未満、ダブルスで16位未満の選手にも出場権獲得のチャンスが巡ってくる可能性がもたらされるが、強豪国では国内のライバルとの出場権を争いが熾烈にする。2011年5月12日付けの世界ランキングを見てみると男子シングルスでは中国人選手が世界ランキング1位〜4位に2名、1位〜16位に5名がランクインしている。この場合、まずケース1にはあたらず、ケース2(2名)となる。そのため、上位から2名までしか出場権獲得資格が得られず、ランク下位3名は世界ランキング38位以内であるが「足切り」にあってしまう。

 
最新のランキングをベースにした場合、国内の出場権争いが激しいのはやはり中国。男子シングルスは倍率4倍(ランク38位以上8名、出場可能選手数2名)、女子シングルスは2倍(ランク38位以上6名、出場可能選手数3)となっている。世界ランクで上位に食い込む必要があるため出場資格圏外の選手には相当高いハードルが科せられる。我々日本は各種目ともに国内競争も激しい。混合ダブルスを除く各種目で出場権を獲得可能な選手がいるが、国別基準で出場権を得られない選手が存在する。但し、混合ダブルスも池田/潮田組のランクが16位と出場資格ラインぎりぎりであり、他国における国内脱落が他競技に比べて少ないと予想されるため16位以内のランク維持は出場権獲得に向けて必至と言える(現状、16位以内での国内脱落が2ペア)。
 
2008年北京五輪では日本から男女10選手が選ばれ、本大会では末綱/前田組が女子ダブルスでベスト4に入るという快挙を成し遂げた。ロンドンでのメダル獲得確率を上げるためにも、選手全体が世界ランキングで上位に入り1つでも多く日本の出場枠を拡大することが必要となってくる。これから各国選手ともにロンドンの出場権争いを意識した戦いが予想され、どの大会も目が離せなくなってくる。
 

出典:
Badminton World Federation 2012 Olympics

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●加藤 晋一
外資系コンサルタント会社勤務の傍ら、日本バドミントン協会-広報部を手伝う。
2011年1月より休職し、MBA取得のためアメリカへ


▼追記:ロンドンオリンピック選考規定 2011年7月6日



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